英語教育系Podcast「英語教育2.2CAST」がとてもいい感じ

英語教育2.0で有名なanfiledroadさん、通称anf先生と、英語教育0.2を運営をされる新進気鋭の研究者の田村先生(タムさん)が共同で始められたポッドキャスト、「英語教育2.2CAST」がとても面白いです。

ポッドキャストというのは結構昔からあったメディアなのですが、テック系のポッドキャストを中心に少し前からまた盛り上がりを見せています。僕自身がよく聞いているものには、backspace.fmstill renderingがあります。今まで、ポッドキャストはテック系や英語ニュース系のものにしか触れてきていませんでしたので、英語教育に関するキャスはとても新鮮であり、ありそうでなかった分野だと感じています。

「英語教育2.2CAST」に話を戻すと、このポッドキャストの中でタムさんとanfさんはTASK TALKという番組を継続的に行っています。この番組がとてもいいと感じる理由として、

  • タスクの概要をとてもわかりやすく解説してくれている
  • タスクの具体的な事例や指導・作成のポイント、tipsを話してくれている

ことがあります。個人的な考えですが、英語教育の分野は、最近は学術研究の方法も高度化し、研究と実践の距離が離れているように感じることがあります。そういった中、ポッドキャストのような形で、研究で得られた知見を実践の文脈に分かりやすく還元するというのはとても歓迎されるべきことであり、現場の先生が実践を考えるためのヒントやきっかけになるのではないかと考えます。僕もTASK TALKを聞いて、もっと意識的にタスクについて考えてみようと思わされ、あらためてタスクと向き合うきっかけになっています。

また、話し言葉で情報を得られる点もとてもいいですね。気楽に情報を得ることができます。ポッドキャストだと「ながら」情報収集も可能ですし、平易な言葉が用いられるという点もポイントだと思います。分かりやすく書かれている英語教育の書籍は少し前に比べるとかなり増えましたが、本を読むまでの時間をとるにはなかなか大変という先生方もいらっしゃると思います。また、文字媒体は丁寧にかつ正確に説明しようとするあまり、「固い」文章になりがちで、そういった文章に取り組むのに一定のエネルギーが必要となることもあるでしょう。もちろん書籍等の媒体がダメとかそういうことではなく、これまでにない気軽に情報収集をできるツールとしてポッドキャストが一役買ってくれているように感じます。

一人のリスナーとして、あえて要望を書けばですが、「自分の授業ではこうしているよ、こうしていたよ」というお話をもっと入れてもらえると嬉しいですね。具体的な事例をたくさんあげてもらえると面白そうです。もちろんお二人とも何らかの形で現在児童・生徒・学生さん等を指導されていると思いますので、現在進行形のことは色々な点において中々話しづらいと思います。それでも、リスナーとしては事例がたくさんあると実践での閃きも増えそうです。

また、慣れない点があるとすると、有料のキャスである点だと思います。この点はお二人も熟考を重ねての選択だと思いますので、もちろんリスペクトです。ただ、とあるテック系のポッドキャストで、「自販機のジュースやコンビニの珈琲を100円で買うことにためらいを持つ人はそれほど多くはないのに、同じような値段の有料アプリを買うのはハードルが高いと感じている人が多い」みたいなことが話されていて、なるほどなと思わされたこともあります。インターネットはこれまでコンテンツが無料という時代が長く続いたため、有料でコンテンツを買うという感覚に馴染むにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

とはいえ、今流行りのsubscriptionではなく、毎回買い切りですので、個人的にはとても使いやすいと思っていますし、カフェで珈琲一杯飲む以下の値段で面白い情報を手に入れることができるので、僕は喜んで投資したいと思っています。また、彼らのような面白いポッドキャストが増えてくると、コンテンツを買うという感覚にも馴染んでくるのかなとも思います。この辺は難しいですね。

色々書きましたが、書籍・論文・学会発表といった形ももちろん大事ですが、それと同時にポッドキャストなどの気軽な形で、英語教育に関する情報の発信がもっと普及し、研究者も実践を重ねる先生方も含めて分野全体が盛り上がっていくといいなあと思います。

読書管理と論文サマリーをNotionで

Evernoteから卒業する日が来たかもしれない。

Evernoteは自分の大好きなアプリの一つで結構長い間使っていた。現在の用途は論文のサマリーや一般書の書評や覚書置き場。Evernoteがリリースされたときには色々な情報を詰め込んでいた時期もあった。しかしながら、蓄積した情報を活用する段階において、データの種類が多すぎて煩雑になってしまっていたので、用途を限定して使用することにして早5年以上。途中色々改悪なアップデートもあったが、図表の挿入が割と簡単に行えたり、新しく入った「テンプレート機能」なんかも気に入ったりで、何だかんだでずっと続けていた。

その一方で、マークダウン形式でメモをとることが多くなり、マークダウンで読書ノートや論文サマリーを管理したいと考えていた。また、それとは別に、自分自身のリーディングリストをうまく管理できず、リーディングリストを管理できるソフトもずっと探していた。つまり、

  • 読書管理ができるデータベース的な機能
  • 読書メモをマークダウンで取ることができる
  • 図表も自在に挿入可能
  • テンプレート機能も使える

ようなソフトはないかなとずっと考えていた。で、偶然発見したのが、Notionというアプリだった。Notionについては、いろいろな記事がネット上にある。


ちょっと前からあったっぽいアプリだけど、存在を知ったのは最近(ちょっと前にも触った気がしたけど、そのときは特に何も思わなかったのかもしれない)。きっかけはケンブリッジで医者をしているYouTuberのAli Abdaai 氏の動画。彼は勉強のtipsやtech系の情報を沢山シェアしており、僕自身は英語の勉強と趣味を兼ねて不定期に彼の動画を視聴していた。その中で紹介されていたのがNotionだった

Notionでやっていること

Notionでは、レゴブロックを積むかのように、様々なオブジェクト(テキスト・データベース・Trelloのようなカンバン・ToDoリスト・GoogleドキュメントやPDFの埋め込み)が可能。そしてマークダウンもテンプレートも利用可能と、非常に多機能。まだ使い始めたばかりで詳細は不明だが、現在僕がEvernoteでしていること、やりたいと思っていたことはほぼ全てできている。

タイトルの通り、現在は、Notionを、文献を読んでその内容をまとめるのに使っている。Evernoteでは「論文サマリー」というノートブックを作ってその中に全てのサマリーを入れていたが、Notionでは「TBLT」「実践研究」など研究分野ごとにサマリーをデータベース化するようにしている。個々のノートへのアクセスも非常にシンプルである。また、同じく一般書の読書記録を整理する上でも活用している。こちらはあまり分野ごとに細かく分けず、「一般書」「統計」など、大雑把なタグで分類するようにしている。

1000ブロックまで無料とのことで、月4ドルでunlimited blockが使用可能とのこと。ただし、学生や教職員は月4ドルのプランを無料で活用可能とのこと。

論文サマリーと読書リストは当分Notionでやっていくことになるだろう。そうなるとEvernoteをどうするか。研究関連以外の情報をEvernoteにしようか。つい最近メモ用にBearにも課金したばかりなので、ツールをどうするか色々悩みどころだ。

191109 追記 nortionじゃなくてnotionですね。ご指摘ありがとうございます。

ドミニク・ローホー(2016).『シンプルに生きる:人生の本物の安らぎを味わう』講談社+α文庫.

あまり公言したことはないのだが、ミニマリストに関連する本が好きで、色々と集めて読んでいる。本書もその1つ。ドミニク・ローホー (2010).『シンプルに生きる−変哲のないものに喜びをみつけ、味わう』幻冬舎を読んだのはもう大分前のお話だが、文庫版が出ていたことを最近知ったので何気なく購入。

本書は、タイトル通り、シンプルに生きるためのアドバイスが、考え方、スタイル、住まい、健康やフィットネス、お金、時間といった観点から書かれている。内容は盛り沢山であり、この文章を書いている今も、内容をメモしたファイルを何度も見返している。アドバイスは一貫しているものの見返すたびに新たな発見がある。特に気に入っているアドバイスには以下のものがある。

  • お金は気を抜いていると失われてしまうエネルギーであり、お金の浪費は自分のだらしなさの代償である
  • 美しくあるためには、常に中立を貫き、静観し、物事との関わりに一線を引くこと
  • 幸せは現実を自分自身がどのように解釈するかによるものである
  • 自分が本当に好きなものだけを所有するようにすること。妥協してものを選ぶと、自分もその程度の人間になる etc.

改めてメモを見返すと、シンプルに生きるということはとても難易度が高いことが分かる。シンプルに生きるためには、不必要なものにかける浪費を削ったり、不要不急の用事にかける時間を削ったりするなど、自制心が要求されるものである。また、○○をしたい、人に褒められたい・認められたいといった感情や、色々なものを際限なく買ってしまうといった、人間の欲求も自制する必要がある。

それでもシンプル主義に惹かれるのは、処理しなければいけないことが少なくなることで、心に溜まっている「もやもや」がスッキリする気がするからだろう。考えごとや問題が減れば減るほど、心穏やかに毎日を過ごせる気がするのは私だけではないはずである。また、本書でも述べられているが、物は増えれば増えるほど、その物に意識をもっていかれることも増えるだろう。そしてやっかいなことに、所有物を増やすことは、短期的に心が満たされるということはあっても、その満足感は長くは続かず、結局のところ本当の意味で満たされることはないのである。人間の他の欲求も同様で、短期的に満たされることはあっても長期的に満たされるということはそう多くない気がする。反対に、考えなければいけないこと、どうでもいいもの、様々な欲求を手放すことでこそ平穏が訪れる、というのが、私が解釈した「シンプル主義」である。

そんなシンプル主義を説いた本書だが、内容は多岐にわたっており、一読して本書の内容を網羅的に理解し実践することは容易ではない。むしろ、何度も読み込むことで、読むたびに新しい発見をもたらしてくれそうな本である。ミニマリストに関心があるならば、様々な観点からミニマリスト的な考え方を包括的に扱っているので、読後の満足感も大きいものだと思われる。

雑然としていると何となく気持ちが悪いのは、精神面も環境面も同じである。紙と鉛筆を用意し、適宜メモをとりながら本書を読みつつ、こうやってアウトプットしながら思考をまとめていくのにちょうどよい本かもしれない。読み終わった後は、再度メモを見返し、自分ができそうなところからシンプル主義を実践していくとよさそうである。