2015年振り返り

2015年もそろそろ終わろうとしています。最近では考えていることのメモをクラウドやモレスキンで管理しているため、あまりブログの投稿をすることがなくなってきましたが、今年を振り返るブログ記事をいくつか拝見したので、便乗して残しておこうと思います。

2015年は良い意味で本当に忙しい1年でした。研究面では、特に研究法関連でたくさんのお仕事をいただくことができました。まず、今年の最初には英語教育に記事を一本載せていただきました。この記事は現場の先生が行う質的研究法という名目で書かせていただきました。その後、中部地区英語教育学会和歌山大会での研究法セミナー、関西英語教育学会のKELESセミナー、中部地区英語教育学会三重支部の例会でのセミナーで実践研究法の入門編のお話をさせていただきました。これらのお仕事は全て周囲の先生方に声をかけていただいて実現したものです。改めて人とのつながりの重要性を感じました。

今年書いた論文はまだ世に出てはいませんが、査読がないものも含めて、既に出版が決まっているものが3つあります。自分にしては珍しく、3本とも共著で、うち1本はセカンド・オーサーにさせていただいています。残り2本はファースト・オーサーで執筆させていただきましたが、大変だったのは3本とも〆切が重なってしまったことです。おかげで、今年はひたすら論文を書く夏を過ごしました。あと審査中のものが1本と、現在共著で取り組んでいるものがありますので、それらをきっちりと終わらせることから来年のお仕事を考えていく必要がありそうです。

お仕事面では、今年は1年生の担任をさせていただいています。約8ヶ月も学生さんたちと一緒にいれば、よいことも大変だったこともありますが、ここまで全員が無事2015年を過ごすことができることに感謝しています。年が明けるとすぐに期末テストの話題にならざるを得ませんが、担任として最後まできちんとサポートして、全員で進級できるようにしたいと思います。

また、体調面でも色々な変化を感じた1年になりました。ここまで健康診断ではオールAが当たり前だと思っていましたが、少しずつ自分にも弱い部分があることを、残念ながら自覚することとなりました(といっても特に深刻な何かがあるわけではありませんが)。段々若くなくなってきたのでちょっと焦ってきましたが、自分なりに健康管理を本格的に意識し始めた年とも言えます。そのおかげか、今年の最初と比べると体型は少し変わった気がします。早くも維持できていない気もしますが。

課題として残ってしまったのは、読書や映画鑑賞の時間がとれなかったことです。読書については、趣味のものもお仕事関係のものも含めて積ん読を増やすこととなってしまったので、来年度は少し意識して読む時間を作りたいと思います。映画も同様で、見たいと思っていた映画のリストはほとんど減りませんでした。同僚とスターウォーズを見に行きましたが、そのときに映画館へ本当に久しぶりに足を踏み入れた気がしました。映画も読書も教養の1つとして、そして授業の肥やしとして、意識して見る時間を増やしていきたいと思います

そろそろ新しい環境にも慣れてきたので、来年度は色々なことを、腰を落ち着けて取り組みたいと思います。あまり手を広げず、今取り組んでいることを着実にワンランクレベルアップさせていくような年になるようにがんばりたいと思います。

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ミニプロジェクト

先日、時間に余裕があったので、投げ込み的になってしまいましたが、授業で調査型のプロジェクトを実施しました。全二時間(40分×2)で、手法は以下の通りです。

1時間目:

① foodに関する質問10問に対して自分の意見を述べる

What kind of food do you like?

What food do you like?

Which restaurant would you recommend ?

Which ramen restaurant would you recommend? など

② 10の質問の中から教師にしていされた質問を1つ選び、その質問をクラス全員にアンケートをとる

③ アンケートの結果をグラフと英文でまとめる。

2時間目:

① ペアを作る。

② 聞き手と話し手に分かれ、話し手が発表する。

③ 聞き手が移動し、発表を聞く。話し手は変わらない。

④ 全員分の発表を聞き終わったら、話し手と聞き手を交代し、②と③を続ける

備考

1時間目の質問の意味が把握しきれない学習者がいたので、日本語での解説を加えました。また、自分の意見を述べる際には、I like ○○のように答え方を示し、○○の部分だけを答えればよいようにしました。アンケートをとる段階では「日本語で聞いたら減点します」と指導しました。この点については前向きな指導を心がけることも考えましたが、一律に「だめなものはだめ」とズバっと、しかし、サラッと言ってしまった方がシンプルでよいと考えた上で行いました。また、発表原稿をまとめる際には、モデルを与えて、モデルの一部を変えれば原稿が出来上がるようにしました。

結果と感想

正直、このようなプロジェクトを行うこと自体が難しいかもしれないと考えていましたが、学習者達は自分たちの身近な事柄について自分の考えを表出する場を持つことができて、日本語ではありますが、質問に答える段階で盛り上がっていました。アンケートを英語で行う際にも型通りではありますが、英語を用いて活動することができていました。「クラス全員に聞く」とすることで、普段あまり話をしないであろう学習者とも、一言ではあっても話す機会を持つことができていました。まとめの際にはグラフを入れることで、発表時に「英語だけでは分かりづらかったけれども、グラフがあったおかげで内容が分かった」といった声を聞くことができました。また、グラフを作ることに結構熱心になっており、集中してまとめをすることができていました。発表時には、全体の前で発表することも考えたのですが、そうするとせっかく準備した原稿を発表する機会が一度だけになってしまうので、task repetitionが可能になるようにペアで行いました。その結果、発表の機会が4,5回ほどになり、同じタスクを数回行うことができました。

この活動を通して僕は今まで自分は何をしていたのだろうという気持ちにさせられました。勝手に「この活動はできないかもしれない」と決めつけてしまっていた自分を反省しなければいけません。今回のプロジェクトでは彼らがプロジェクトをこなせるようにいくつかの支援を行いました。質問の内容を日本語で解説したり、質問の答え方を与えたり、発表原稿のモデルを与えたり、といった支援です。型通りの発表になってしまうという批判は承知の上ですが、型通りであっても、英語を使って他の学習者の意見を聞いて、まとめて発表することができた、という点を僕は評価したいと思います。英語が決して得意ではない学習者が多い中でも、こちらが支援を工夫することで、彼ら自身ではできないことができるようになる、そんな経験を身を以て体験することができました。マジメに、そして意欲的に取り組んでくれた学習者に感謝です。

また、活動後に学習者にアンケートをとりましたが、その中には「他の人の意見を知れて面白かった」という声がありました。やはりある質問に対して、他の人の意見を聞くことは、自分の知らないことが知れるのでとても楽しいようですね。僕も質問を答える活動中に、学習者がおすすめのrestaurantを色々と話しているのを聞くのは、10代の学生がどのようなものを好んでいるのかを知れたという点でとても面白かったです。この経験から、学習者は他の学習者とよい関係を持ちたいという、関係性の欲求に訴えることで、学習者が取り組みたいと思うような活動を作ることができるのではないかという考えに至りました。もう一つ、英語「で」学ぶ、という表現がよく使われますが、今回のようなプロジェクト活動は、「他の学習者の考えを調査して、その内容をまとめて発信する」という点においては、「英語で「で」学ぶ」が達成できたのではないかなと思います。英語そのものを学びながらも時にはこのような英語で学ぶ機会をもっと授業に取り入れたいなと考えています。

上記のような要素を取り入れようとすると、その先には、TBLTやTSLT (task-supported language teaching)という言葉が見えてくるように思います。taskに関しては、どのようなタスクが第二言語習得に効果的か、どのような指導法を行うことで学習者のperformance向上が可能になるか、taskを用いたときの特定の言語形式の取得について、などが研究対象として挙げられます。そのような研究は指導法の効果を測定する点においてとても重要なことには間違いありません。ただ、僕はこれからしばらくは、TBLTと学習者の動機の関係を見れたらいいなと考えています(そしてそれは多分現任校において比較的重要な意味を持つのではないかなと考えています)。習得云々は必要な要素であることは本当に間違いないと思いますが、それよりも僕が現任校で大事にしたいのは、如何に学習を楽しんで行うことができるかです。授業が苦ではない、英語ならがんばろう、やろう、と学習者が思ってくれるような授業、そんな授業をまずは追求していきたいと考えています。

正直、赴任当初はどうなるかと思っていましたが、教科書の扱い、やる気を高める手法、どうすれば学習者が活動に取り組めるか、少しずつではありますが、見えてくるようになってきました。

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動機づけを高めるために:全体授業からの脱却

現在の職場は以前も書いたように、少人数での授業を実施しています。しかしながら少人数のメリットを十分に活かせていなかったことや、普段の授業の学習者の意欲を観察していて、何か今までとは違う手段が必要だなと感じていました。

そこで、休憩がてらぼーっと考えていた時に、ふと以前読んだ自己決定理論の概要が頭をよぎりました。僕が読んだ文献の中では、自己決定理論の中で動機を高める要素の中に「関係性の欲求」ということが述べられていました。その時はただ単に読んだだけだったのですが、実際の授業を通して改めて自己決定理論に触れた時、この「関係性の欲求」に焦点を当てて授業を行うことから始めようと考えました。また、ちょうどそう考えた日に、これまた息抜きで「プロフェッショナル:仕事の流儀」の田尻悟郎先生の回を見ていまして、同じようなことを考えていらっしゃった(と僕は解釈しました)ので、それもあって関係性の欲求を中心とした内容で授業を考えてみようと思い立ちました。

しかしながら、関係性と言っても、教師と学習者の関係もあれば、学習者同士の関係性もあります。どちらを中心に考えて行こうかなと考えた結果、クラスの実態等も考慮して、まずは教師と学習者の関係を築けるような授業を構築しようという考えにいたりました。

その一方で、夏休みに動機づけについて勉強しましたが、動機の中には

統合的動機
道具的動機
外発的動機
内発的動機
達成動機
Willingness to Communicate
ideal L2 self

など多種多様なものがあることを知りました。僕は動機づけに関しては素人で、かつ授業に役立てるために勉強したので、それぞれの意義や問題点等は横においておき、この中のどの動機を中心に活性化させようかなと考えました。その結果、まずは「できた」という達成感を味合わせるために達成という要素を活性化させようという風に考えました。

「関係性」+「達成感」=全体授業からの脱却
「関係性(教師対学習者)」と「達成感」この二つを軸として考えた結果、生徒に課題を与え、それを教師の前でこなしていく「個別指導」をすることにしました。つまり、「今日の授業時間内ですること①新出単語の意味を教師の前で言う、②教科書の内容理解問題に取り組む、③音読、④暗唱」という具合に課題を明確にし、一つ一つ教師の前でさせます。そして「合格」した学習項目を学習者ごとに一つ一つチェックして行きます。この点は関係性を活性化させる目的で行っています。

もう一つ、「達成」を活性化させるために、明確な合格基準を設けるようにしました。例えば前述①の新出単語の意味を教師の前で言う活動は「一問はパス(わからない)できるけど、二問パスしたらやり直し」という基準を設けて取り組んでいます。また、③の音読についても「教師の前でスラスラ読める」では基準が曖昧なので、教師が一度生徒の気持ちになって読んでみて、タイムを計測し、そのタイムに何秒か上乗せした時間以内に読むように指示しています(例えば教科書p. ○○は30秒以内、など)。そうすることで、単に音読するだけでなく、明確に「30秒以内に読まなければいけない」ということになり、目標達成のために熱心に練習しています。教師のところに来て教師と「勝負」する時間以外は各自が練習する時間に当てます。

このスタイルを導入して気づいたこと:積極性、個々の学習者の把握、mixed levelへの対応
このような方法をとりはじめて2回ほどですが、気づいたことを書こうと思います。

まず、全体授業ではほとんど意欲を見せなかった学習者が基準を達成するために何度もチャレンジしたり、積極的に「これどんな意味?」などと聞きにくるようになりました。特に一番難しいと考えていたクラスでこのスタイルがてきめんで、あまりに集中して取り組んでいたのでこちらが驚きました。

次に、このスタイルをとって、こちらが一つ一つ合格した基準を学習者ごとにチェックすることで、個々の学習者が現在どの程度学習が進んでいるのかを明確になりました。Aくんは音読が終わって暗唱まで済んでいる。Bくんは音読はできたけれども、暗礁はまだ。Cくんは単語の意味を覚えることで苦労しているな、などです。これがチェックされたシートをみるだけで一目瞭然なので、個々の学習者にどのような支援をしていくべきか、ということを考える非常によい資料ができていることに気づきました。

3つ目ですが、この方法により、学習者がある程度自分のペースで勉強できるということです。これは予期していなかったことなのですが、とてもよい副産物でした。一斉授業オンリーだと、学習者の理解状況はある程度加味しつつも、「進まなければいけない」という事情もあり、板挟みになることが多かったのですが、この授業スタイルをとることで、各自が自分のペースで勉強できるため、習熟度が高い学習者、低い学習者の両方のニーズをうまく満たすことができる可能性を秘めていると言えます。実際にはmixed levelに対応できるような段階まで自分のスタイルが洗練されていませんが、この先課題の目標を二段階に設定するなど工夫することで十分対応可能な気がします。

まだ2,3回しか授業をしていないので何とも言えないですが、少なくとも上記のような利点が見られており、授業をしている身としてはホッとしています。一人一人の学習者と話すこともできるので、ある程度関係を作る時間もあり、これからどんどん関係を深めていけるとよいと思っています。また、明確な基準を明確に設定し「できそうで、一発で簡単にはできないであろう基準」を心がけることで、学習者は「あと少しでできるかも」という期待から彼らなりに練習し、できたときには「よっしゃ!」という声が聞こえるようになってきています。達成感の部分も少しは刺激できているかなと思います。

ただし、いいことづくめというわけではありません。授業の後半になると集中力がきれてくる学習者がいたり、クラスが騒がしくなったり(いい意味でも悪い意味でも)するなど、考慮するべきことはまだまだたくさんあります。その点を一つ一つ記録し、どのように解決していくかを考慮していこうと思います。

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