Mackey, A., Gass, S., and McDonugh, K. (2000). How do learners perceive interactional feedback? Studies in Second Language Acquisition, 22, 4. 471-497.

この研究では学習者がインタラクション中に与えられるフィードバックを正しく認識できるかどうかを調査しています。実験参加者はESLの大学生10名とイタリア語を学ぶアメリカの大学生7名。ESLの学習者は英語母語話者(以下NS)と、イタリア語を学ぶ学生はイタリア語母語話者またはそれに近い発話者(以下NS)とspot-the-differenceタスクを行いました。タスク活動はすべてビデオに録画されており、タスクの直後、学習者は実験者と共にビデオを見ました。フィードバックが与えられたところで実験者がビデオを止めて、学習者にこの時何を考えていたのかを問いました。また、学習者は気になったことについて実験者に話をしました。(この手法をstimulated recallというそうです)

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Mackey, A. (1999). Input, interaction, and second language development: An empirical study of question formation in ESL. SSLA, 21, 557-587

今、とある事情で、インタラクションの勉強をする機会をいただいています。来年の研究にもぜひつなげようと思っていますので、少しずつ考えたことを、備忘録を兼ねて書いていきたいと思います。

まだ、読みかけですが、上記の論文を読みました。この論文ではオーストラリアの語学学校(と思われます)の学習者を対象に、インタラクションが疑問文産出の発達にどのような影響を及ぼすかを調査しています。実験参加者をインタラクション、レディネス無しインタラクション、観察(observation)、事前修正インプット(premodified input)、統制群の5グループに分け、information gap taskを行いました。事前テスト、事後テストにはspot the difference taskを、treatmentには様々なinformation gapタスクを行いました。目標形式は上記の通り疑問文の形。先行研究から疑問文の発達段階に関する指標を用いて、stage 2~stage6までの疑問文の中から、どの程度高いステージの疑問文を表出できるかを分析しています。事前テストはトリートメントの1日前、事後テストはトリートメントの1日後、事後テスト1の1週間後、事後テスト2の3週間後に行いました。

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高島英幸(2005)英語のタスク活動とタスク 第1章 読みました

タスク活動で有名な高島先生の本を今更ながら読んでみました。先月講演会に参加したときのお話が非常に有益なもので、その日以来、どうしたら生徒に英語を使って活動してもらえるかどうかを考えています。本書の第一章では、従来のコミュニケーション活動と呼ばれるものを細分化し、タスク、タスク活動、タスクを志向した活動の3種類に分類しています。 上に挙げた順に、意味、伝達重視の活動、言い換えれば、形式定着を重視した活動ではない、ということになります。3つの活動ともに、課題解決、達成を目的とし、意味伝達を目的としていることが共通点であるそうです。

これらの活動の分類をふまえて、自分の授業を振り返ったとき、直感ですが、日本の中学生では、どのレベルまでできるようになればよいのか考えさせられます。一口に日本の中学生といっても、置かれている環境や英語のレベルは異なっているので、一概には言えませんが、少なくともタスク活動までは持っていきたいなあというのが本音です。もっと欲を言えばその上を目指したいですが。

ただ、日本の中学現場では、基礎基本の定着ということも非常に熱心に叫ばれているので、そちらとのかねあいも考えなくてはいけないかもしれません。 本書でも言われていることですが、ただ単にコミュニケーション活動を行っていても学習者に力がつきはしないでしょう。教師の側が、最終的にどのような能力を持った学習者に育てたいかということを明確にし、その上で、その目標を達成するために、適切な活動を織り込んでいかなくてはいけないでしょう。そのためには、パターンプラクティス的なドリルやエクササイズのような活動も考慮に入れていく必要があると思います。

もう一つ考えることがあるのですが、このようなタスクはとにかく単発的になりがちです。コミュニケーション能力、そして、いわゆる基礎基本の定着という点を考えるならば、同じ目標言語を用いた活動をどれだけの頻度で行えばよいかということも教師の側は考えなくてはならないのかもしれません。自分の授業でも一つ一つの授業でコミュニケーション活動を取り入れても、次の時間になったら学習者は忘れているということもよくあることです。タスクの繰り返しということも実践では非常に大事になってくると思います。

とにかく一章目で早くも色々と考えさせられました。