全国英語教育学会を振り返る

さて、少し日にちも経ってしまいましたが、全国英語教育学会を振り返りたいと思います。印象に残った発表を紹介したいと思います。

まず1日目は関田信生先生、コミュニケーションにおけるauthenticityについて。印象に残ったのは、学外、教室外の方々を巻き込んだ活動をすること。実際に大学生や社会人の方に向けて英語で発信するというのはかなり緊張するでしょうし、人にメッセージや情報を伝えるという意味でauthenticだなあと感じました。以前ALTを通じて外国の学生に手紙を書く活動を行ったことがありますが、その時の生徒の様子はいつもの授業とはちがい、切羽詰まるというか、本気でやらないとだめだという雰囲気を出して活動してくれたのを覚えています。

続いて宮迫先生の改訂型PPPのお話。TBLT、focus on formの欠点を指摘しつつ、改訂型PPPの紹介をしてくださいました。僕は英語学習にいかにメッセージに中心を当てつつ言語形式にも焦点を当てることが英語力の養成につながると考えています。そういった意味でfocus on form、TBLTは1つの方法だと思っていますが、ご指摘された欠点はなるほどなと感心しました。文法的な知識と実際の運用能力との関係は今後深く勉強していきたいと思いました。

続いて浦野先生の暗示的知識の測定方法についての研究。発表内容ももちろんなのですが、とにかくプレゼンがとても分かりやすく、本当の本当に発表する内容を完全に理解していないとできないなと思いました。その後の大御所の先生とのやりとりの際にも貫禄を感じました。

続いて2日目

宮城教育大の鈴木渉先生のランゲージングについてのご発表。実は全国学会ではいつもお話を聞かせて頂いています。なぜかは言葉にできないのですが、ランゲージング、グラマリングといった言葉にすごく惹かれる部分が自分の中にあります。時間があるときに色々と論文を読んでみたいと思っています。language learningにご掲載が決定されているとのことです。すごいです。

そして井上千尋先生のご発表。正確さの測定指標について。僕が続けている研究に一番関連した内容で、興味深く聞かせていただきました。測定指標については今後自分が研究を進めていく上で一度深く考えなければいけないと思っていた矢先のご発表でした。まずは井上先生の研究から入り、今年少しずつ読み進めていこうと思っています。

最後に、ワークショップの和泉先生のご発表。学部時代から論文や本でたくさん勉強させていただいた、その著者がご発表ということで、とても熱心に聞きました。先ほどの井上先生もなのですが、このお二人の英語でのご発表には感心させられました。とにかく英語がネイティブのようで、この人たちくらい話せるようになるためにはどの程度のトレーニング、コミュニケーションが必要なのだろうと考えていました。

やはり全国学会といった気持ちでいっぱいでした。すごい人たちがたくさんで刺激をもらいました。自分も今抱えているものをきちんと仕上げることから始めつつ、新しい分野にも挑戦していこうと思います。

全国英語教育学会山形大会に参加しました。

8月20日、21日と全国英語教育学会(JSELE)に参加しました。今回は発表はお休みしての参加だったので、気楽に(?)参加することが出来ました。

今回の学会では6月に行われた中部地区英語教育学会でたくさんお話させていただいた方や、新しくお会いした方々から色々な情報をいただけたことが一番の学びになりました。もちろん研究発表からもたくさんの学びや気づきを得ることができましたが、それ以上に人と出会い、研究仲間の幅が広がっていくことを実感しました。

「研究」という言葉の響きはいいかもしれませんが、時に孤独な作業になりがちです。そんな中でも日本各地に同じ英語教育、SLAの分野でがんばっている人がいるということは、一つの励みになりますし、知り合いの先生が研究発表をしている姿を見ると、自分ももっとがんばらなければならないという気持ちにさせられます。

そのような意味でも今回の学会は本当に充実した学会になりました。懇親会等で相手してくださった皆様、研究発表での質問を快く聞いてくださり、懇切丁寧に指導してくださった先生方、本当にありがとうございました。

学会での気づきは帰宅してから書こうと思います。

Rプログラム:ピアソンの積率相関係数の算出と有意差検定

Rによるピアソンの積率相関係数の検定のためのプログラムです。実際にはcor.test(g1,g2)という関数(g1にはグループ1の得点を、g2にはグループ2の得点をあらかじめ格納しておく必要があります)でできますが、練習用の備忘録として記述します。なお、プログラムは山田他(2008)を参照しました。

correlationtest<-function(g1,g2){
r<-cor(g1, g2)     # 相関係数rの計算
n<-length(g1)     # サンプルサイズの計算
t.nu<-r*sqrt(n-2)     # t統計量の分子の計算
t.de<-sqrt(1-r^2)     # t統計量の分母の計算
t<-t.nu/t.de     # t統計量の算出
df<-n-2     # n-2の自由度の算出
p<-2*pt(t,df,lower.tail=FALSE)     # p値の算出
DF<-data.frame(r,t,p)     # 結果のデータフレーム化
DF     # 結果の出力
}

使用法
1)Rに上記の関数を貼付ける

2)g1にグループ1の得点を格納

3) g2にグループ2の得点を格納

4) correlationtest(g1,g2)をRに入力

上にも書きましたが、g1にはグループ1の得点を、g2にはグループ2の得点をあらかじめ格納しておく必要があります。

例)

g1<-c(1,2,3,4,5) # c(   )の中に実際の得点を記述

g2<-c(6,7,8,9,10)

参考文献

山田剛史・杉澤武俊・村井潤一郎(2008).『Rによるやさしい統計学』東京:オーム社