Takuro について

福井高専一般科目教室准教授

ATOK Pad 使用雑感

iPadでのテキスト入力は主evernoteを使用していますが、巷ではATOK Pad の評判がよいので、1200円と高かったのだけれども購入しました。しばらく使ってみての使用感をレポートしたいと思います。

僕のiPadでの入力環境は、iPad+appleの外付けキーボードです。iPadにキーボード入力している方は共感してもらえると思いますが、キーボードで入力するときも、入力方式はiPhoneやiPadの通常の入力方法と同じになります。これらのツールでは特に不満を感じることはないのですが、キーボードで入力し出すと、自動で助詞等をつけて予測してくれる機能がとてもストレスに感じることがあります。たとえば、「自動的に」という言葉を打った後に「自動」と入れると、変換候補の一つ目は「自動的に」となることが多いです(試したわけではありません。例えとして。。。)そうなると、「自動」を打つためにまず、「自動的に」と入れてその後「的に」の部分を削除して「自動」という入力を完成させる必要がありました。

ATOK Pad ではそのような心配がなく、PCやMacで入力しているような快適さで入力を進めることができます。特に日本語オンリーの文章を書く場合には、iPad標準の変換ソフトよりも格段にスムーズにテキストを入力することができます。

しかしながら日本語と英語の切り替えには賛否両論がありそうです。iPad+キーボードでの入力時にはキーボードの「英数」キーや「かな」キーで容易に切り替えることができるのですが、ATOK Padでは、オプション+スペースキーを押さなければいけません。この点が気にならない人にはこのソフトは完璧だと思うのですが、英語と日本語を切り替えて文章を打つことが多い人には、ちょっとしたことなのですが、ストレスに感じるかもしれません。

最初にこのソフトに触れたとき、この変換の違いにとても戸惑いました。そして、使用をあきらめようとも思っていました。この解決方法として、僕は、英字・日本語切り替えのみ、タッチパネルに頼るようにしています。キーボード入力をしている間、画面上の下に、いくつかのボタンが表れるのですが、その一番右側に日本語入力と英字入力を切り替えるボタンがあります。英語と日本語を切り替えたくなったら、オプション+スペースキーではなく、この一番右側のボタンを押すようにしています。この方法を使うことで英字・日本語の切り替えの際に感じるストレスはかなり軽減されました。現在では情報をストックする箇所はevernoteで変わりないのですが、テキスト入力の際にはATOK Pad を標準にしてもよいかなと感じます。英字・日本語の切り替えさえうまくいけば、テキスト入力の快適さはほかのソフトとは比べものになりません。

1200 円とちょっと高価なアプリですが、パソコン版は一万円を超えることを考えると、とてもリーズナブルなアプリで導入する価値は十分にありそうです。

勉強会立ち上げました!

今回仲間内でCELT勉強会と称して、英語教育の勉強会を開くことになりました。

第1回の勉強会の日時と内容を記しましたのでご覧下さい。

対象:教員、英語教育に興味、関心のある大学(院)生(学年は問いません)
日時:3月4日(日) 14:00~16:00
費用:無料
場所:福井大学教育棟1号館401講義室

基本的には若い先生や学生さんが中心になるように思います(もちろん誰でも歓迎です)。日々感じている疑問や悩みを、皆でわいわい議論していける場を提供していけるといいと思っています。しばらくは、模擬授業発表、研究論文発表またはレビュー、ワークショップの3本立てで行っていく予定です。HPも立ち上げました。以下のURLからアクセスできます。

CELT-FUKUI:http://celtfukui.wordpress.com/

 

Qi and Lapkin (2001). Exploring the role of noticing in a three-stage second language writing task. Journal of Second Language Writing, 10, 277-303.

ブログ更新がしばらく滞りました。今日は久しぶりに論文のレビュー。

読んだ論文:

Qi, D.S., and Lapkin, S. (2001). Exploring the role of noticing in a three-stage second language writing task. Journal of Second Language Writing, 10, 277-303.

習熟度の異なる学習者を対象に、ライティングにおけるアウトプットの役割を検証している。ケーススタディ。参加者は大人の英語学習者2名。タスクは、本論文にはナラティヴとしか書かれていないが、appendixを見る限りpicture descriptionタスクのようなタスクを実施したように思われる。参加者はまず、与えられた絵を用いてライティングを行った(ステージ1)。その際に、学習者が気づいたことを調べるために、think-aloudを行った。その後研究者が、書かれた作文を集めて修正した(後に提示するネイティブのモデル作成のため)。ライティングの4日後に学習者は、自分たちが書いた原稿と研究者によって修正された原稿を与えられ、その二つを比較することを行った(ステージ2)。その際に、学習者が気づいたことを調べるために、think-aloudを行った。think-aloudの様子はビデオで撮影されており、草案とモデルを比較した後に、学習者はthink-aloud時のビデオを見ながら研究者の質問に答えていった。ステージ2の2週間後に、学習者はポストテストとして、自分たちがステージ1で書いた草案を修正するタスクを行った。

データ分析として、think-aloudで得られたプロトコールをLRE (Language-Related Episodes)の観点から分析した。LREは語彙、形式、談話面の3つに分類された。

その結果以下のことが報告されている。まず、ライティング中に起こったLREの約半分がステージ1の段階で解決され、もう半分は正しく解決されていなかった。また、習熟度の高い学習者の方が習熟度の低い学習者よりもLREの数が多かったことを示唆している。言い換えれば、学習者の習熟度によってタスク中の気づきの量に差があることを示唆している。同様の示唆は他の研究でもされており、習熟度は気づきの量に影響を与える要因になり得る可能性があるようである。

次にステージ2のLREを分析した結果、修正を受け入れた理由まで述べているLREが約半分近く見られたものの、半分以上のLREは理由なしに受け入れられていた。特にlow-levelの方の学習者はこの差が顕著で、そのことから、習熟度の低い学習者は、与えられたモデルから自らの中間言語と目標言語の違いの性質まで理解することが難しいことを示唆している。

しかしながら、分析したデータからは、LREを受け入れた理由までは分からなかったのかもしれないが、それを以て中間言語と目標言語の違いの性質まで理解していないということを断定することは難しいと思われる(もちろん本研究では断定することまではしていない)。Schmidt (1990)でもnoticingはverbal reportできるという性質を持っているけれども、verbal reportできないこと=気づいていないことではないということが述べられている。この点は研究の方法を再考することで解決できるのかもしれない。

次にポストテストについてだが、ステージ2で修正を理由を以て受け入れているものの70%以上は修正に貢献していたと述べている。

ケーススタディを自分で行ったことがないので、詳しくは言えないが、せっかくケーススタディをしたのならば、より質的な面を調査できた可能性があるのではないかと思われる。この点は自分ならどのような観点でデータを分析したかをもっと考えてみたい。