5月も終わり

しばらくサーバーの調子が悪かったようで、閲覧できない時期が出ました。ご迷惑おかけしてごめんなさい。

さて、現任校に赴任して二ヶ月弱。テストも一旦終わり、授業の方向転換を試みています。現任校の学習者の習熟度をある程度把握できたところで、より基礎的な内容を定着させるような手法を模索中です。具体的には基本的な語彙に焦点を当て、語彙の習得(ここでいう習得は単語の意味が分かる、単語が読める、単語が書けるの3つ)を中心として授業を構成しようと試みています。まだまだ改善点は多いのでここには書きませんが、学習者の反応はまずまずといったところです。

今年一年、きっと習熟度が高くない学習者に対してどのように指導していくかを考えていくことになると思いますが、現時点で感じていることは、習熟度が高くない学習者に対しては、こちらが「自分でできるでしょ」と考えることを学習者任せにせず、きちんと授業で取り上げていく丁寧さが必要となるということです。勉強の仕方が分からないのであれば勉強の仕方を口頭で説明するのではなく、実際に授業でやってみる、単語を書く練習が必要ならば実際に授業で取り入れる、など、一つ一つを時間をかけて取り組んでいくことが大事だなと痛感しています。面白いもので、教科書本文の中のkey wordsに下線を引き、意味を答えさせることを目標として、授業中に語彙を覚えることを目的としたタスクに取り組ませ、実際にテストをしてできることが分かると、「今なら英語ができる気がする」という声が(一部ですが)聞こえてくることがあります。本当は分からないよりも分かった方がいい、だけれどもどこから手をつけていいか分からない、または、このタスクは分かりそうだからやってみようか→やったらできた→英語が分かるよ、という思考のプロセスが学習者にはあるのかもしれません。今までの自分はどうしても授業一つ一つをどう構成するかばかりにこだわっていましたが、彼らを担当する期間は少なくとも一年ありますので、長期戦と考え、1学期中に仕込むこと、二学期中に仕込むことを自分の中で明確にして教材研究に取り組んでいこうと思います。

和訳先渡しについて考える

さて、和訳先渡し(+少し解説)方式で授業をスタートさせてしばらく経ちますが、学習者は和訳や解説を活用しながら何とか自分でできる活動に取り組んでくれています。それはそれでいいのですが、ちょっと考えなければいけない点が出てきたので、考えを整理するためにもブログに書いておこうと思います。

現在は和訳と少々の解説を渡し、word huntingやsentence huntingに取り組んでいます。これらの活動に一生懸命取り組んでいるのですが、とある単元(ピーターラビットに関する単元)をやったときに、「せっかくピーターラビットをやっているのだから、ピーターラビットのお話自体をやりたい」といった声を聞きました。word huntingやsentence huntingは確かに取り組みやすいのですが、言語形式面のみに焦点を当ててしまっているので、学習者にとってはあまり動機付けが高くない活動だったように思います。決してword huntingやsentence huntingの活動自体が必要なかったり悪い活動だと言っているわけではありません。ただ、こういった言語形式面へ焦点を当てるだけでなく、もっと内容について考える活動を取り入れていく必要があるように感じています。

前回、前々回の投稿にも書きましたが、和訳先渡しはどのようなタスクを用いるかが一つの鍵となります。形式面の勉強のみに焦点を当てて英文を読んでしまうと、言ってしまえばテキストに書かれている内容自体は何でもいいことになってしまいます。それではせっかくのパッセージがもったいないです。もっと読む目的を明確にして取り組むことで、なぜその文章を読まなければいけないのかをはっきりさせたり、パッセージの内容に焦点を当ててもらうことが可能になるように思います。そして、読んでいく中で分からない部分が出てくる(Swainのいうnoticing a hole)、つまり、形式に焦点を当てる場面というのは学習者の習熟度を考えると必然的に出てきます。一つ一つのholeの出どころは学習者によって異なるので、授業で埋めて行こうとすると形式面の解説で終わってしまうので、その部分を和訳先渡し+解説プリントで埋めてあげるようにすることで、授業自体は内容面に焦点を当てながら形式にもnoticing a holeに対処することができそうです。

上記のように考えたので、早速次の授業でやってみたいと思います。

2週間が経ちました。授業スタイルその後は

授業が始まって早二週間が経ちました。前回の投稿で授業スタイルについて考えましたが、その後の経過を書きたいと思います。

まず、all Englishの授業について。こちらは三回程授業しましたが、英語で授業をするという雰囲気に少しずつ慣れてきたように思います。こちらから英語で質問が飛んでくるので、それに答えるというスタイルです。基本的には①インタラクション形式で新出言語材料を導入かつ使っていく。教師対学習者の一対一のインタラクションなので、当てられてた学習者はいきなり新出言語事項を使うことが求められますが、こちらがどのように答えるかを支援しているので、答えに困ることは現在のところほとんどありません。同一の質問で学習者を変えてインタラクションしているので、聞いている学習者は何を聞かれて何を答えるかに焦点を当てて聞いているように思います。「分からない」を現段階ではあまり感じさせたくないので、質問→答え→very good のIRFパターンでのインタラクションになっていますが、現段階ではOKとしています。将来的にはfollow-up questionを加えたり同じ質問をクラス全体に問いかけたりすることで、話題を広めたり深めたりできるといいなと思っていますが、もう少し英語に対する慣れと表現のストックが必要となりそうです。

次に和訳先渡しについて。こちらは問題を与える→日本語を読む→日本語に該当する英語を抜き出して答える、というプロセスを学習者は踏んでいるように思います。課題の負担は軽いため、ほとんどの学習者が取り組めているようにおもいます。しかしながら、英語を実際にプロセスしているかどうかと言われるとかなり疑問が残るようにも感じています。和訳先渡し形式の授業では同一のパッセージを、タスクを工夫することで何度も読ませることは可能ですが、英語を実際にどのように学習者にintakeさせるかという点から考えるともう一工夫必要な気がします。

一応ここまでの実践の振り返りとして書きました。あまり頻繁にスタイルを変えることはよいことではないように思われるので、もうしばらくこのスタイルで様子をみてみようとおもいます。